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インド進出の基礎知識まとめ・インド税務ガイド2021-個人所得税編

インド進出の基礎知識まとめ・インド税務ガイド2021-個人所得税編

解説:日本経営ウィル税理士法人

インド税務ガイド-個人所得税

1.基本情報

1)概要

個人所得税とは、個人の所得に対する税金で、その課税範囲はインドの居住ステータス(通常の居住者、非通常の居住者、非居住者)によって大きく異なります。

また、2020年4月より、2つの税制からの選択制となったことも、インドの個人所得税の大きな特徴です。正しくご理解の上、ご自身に有利な税制を選択する必要があります。

2)課税期間

インドの個人所得税の課税期間は、所得税法で4月1日~3月31日と定められています。

3)申告期限

インドの個人所得税の申告及び納付期限は、7月31日までと定められています。

4)予定申告制度

給与賞与以外にかかる所得税の年間見積税額が1万ルピー以上の場合は、年4回の予定納税が必要となります。

納付期限納付税額
6月15日年間見積税額の 15%
9月15日年間見積税額の 45%
12月15日年間見積税額の 75%
3月15日年間見積税額の 100%

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2.居住性

1)インドの居住別課税範囲

居住性課税範囲
通常の居住者全世界所得課税となるので、日本で受け取っている不動産収入等も課税対象に含まれる
非通常の居住者非居住者の課税対象に加え、インドでの活動から発生している所得で、インド国外で発生し受け取る所得も含まれる
非居住者インド国内で受け取った、あるいは発生した所得

2)インドの居住判定基準

居住性課税範囲
通常の居住者下記のいずれかを満たした場合
1)当該会計年度に182日以上インドに滞在した場合
2)会計年度中に60日以上インドに滞在、かつ当該会計年度前の過去4会計年度期間で365日以上インドに滞在している場合
非通常の居住者通常の居住者に該当した上で、下記のいずれかを満たした場合
1)会計年度前の10年のうち過去9会計期間は非居住者
2)会計年度前の過去7会計年度期間の滞在日数が729日以下の場合
非居住者通常の居住者に該当しない場合

3.個人所得税率

1)インドの個人所得税の選択制

インドの個人所得税は、次の2つのルールより選択制となっており、それぞれ税率や控除可能額が異なります。

① 従来の制度
② 新制度(2020年4月1日以降選択可能)

2)インドの所得範囲

インドでは給与や賞与に限らず、次のような現物給付も所得として認識します。

① 法人が従業員の代わりに支払っている住宅家賃
② 法人が従業員の代わりに支払っている自動車
③ 法人が従業員の代わりに支払っている所得税手当 等

3)個人所得税率(従来の制度)

課税対象所得税率
250,000ルピー以下
250,000ルピー超/500,000ルピー以下5%
500,000ルピー超/1,000,000ルピー以下20%
1,000,000ルピー超30%

4)個人所得税率(新制度)

課税対象所得税率
250,000ルピー以下
250,000ルピー超/500,000ルピー以下5%
500,000ルピー超/750,000ルピー以下10%
750,000ルピー超/1,000,000ルピー以下15%
1,000,000ルピー超/1,250,000ルピー以下20%
1,250,000ルピー超/1,500,000ルピー以下25%
1,500,000ルピー超30%

5)所得控除項目(従来の制度)

  • 給与所得控除
  • 家賃控除
  • 生命保険控除
  • 住宅ローン控除
  • 教育ローン控除
  • 寄付金控除 等

6)所得控除項目(新制度)

新制度における所得控除項目では、5)のような従来の制度の控除項目は使用できず、出張交通費等の限られた項目のみが使用可能となります。

7)追加課徴金(Surcharge)

インドの個人所得税は、一定以上の高所得者に追加課徴金(Surcharge)として税金が所得税に課されます。

課税所得税率
500万ルピー10%
1,000万ルピー15%
2,000万ルピー25%
5,000万ルピー37%

8)健康教育目的税(Cess)

インドの個人所得税に課される健康教育目的税(Cess)の計算方法です。

(個人所得+追加課徴金)× 4%

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レポートの監修者

藤井 邦夫(ふじい くにお)
日本経営ウィル税理士法人海外事業部課長

事業承継・組織再編の専門部門を経て、2013年よりタイの提携事務所に3年間出向。現地会計業務・進出コンサルティングにとどまらず、現地法令・規制調査、取引先候補企業リストアップ、現地渡航時企業訪問アテンドなど、 中堅・中小企業の東南アジア進出をサポート。帰国後、トータルソリューション事業部にて海外事業部を統括し、海外事業支援業務に従事。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
    相続・オーナー
  • 種別 レポート

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