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贈与税VS相続税、どっちが有利?/韓国の税務情報

贈与税VS相続税、どっちが有利?
(出展:韓国国税庁公式ブログ 2022/1/12)

※韓国の税務・経済・法律情報から注目のトピックスをピックアップし、日本語に翻訳してお届けします

不動産、株式などに関心が高まり、それに伴い贈与、相続について相談も増えています。簡単に、相続は財産を持っていた人が亡くなって承継するものであり、それ以外は贈与に該当するともいえます。贈与及び相続に伴う贈与税及び相続税の違いについてご存知ですか?

贈与税とは?

贈与された財産に対して課される税金

贈与税は、他人(家族を含む)から財産をもらったとき、その財産をもらった者(受贈者)が負担する税金です。贈与財産の評価は、贈与した時を基準にします。

納税義務者は受贈者

他人から無償で財産を受けた受贈者は、その財産に対する贈与税を申告・納付しなければなりません。受贈者が営利法人の場合、営利法人が贈与を受けた財産は法人税の課税対象なので、営利法人には贈与税を課しません。

課税対象、納付義務者は受贈者の居住状況によって異なる

受贈者が贈与日において居住者か非居住者かによって課税対象と納付義務者が異なります。

受贈者課税対象/納税義務者
居住者国内外のすべての贈与財産/受贈者
非居住者国内のすべての贈与財産/受贈者
居住者から贈与を受けた国外のすべての財産/贈与者

▶居住者と非居住者の判断(相続税及び贈与税法第2条)
居住者:国内に住所を置く、又は183日以上居住を置く人
非居住者:居住者ではない人

相続税とは?

相続する財産に課される税金

相続税は、死亡によりその財産が家族や親族などに無償で移転される場合、当該相続財産全体に対して課される税金です。評価時期は被相続人が死亡した時を基準にします。

納税義務者は相続人または受遺者

相続税の納税義務者は、相続を原因として財産をもらう相続人と遺言や贈与契約後、贈与者の死亡により財産をもらう受遺者です。特別縁故者や受遺者が営利法人の場合、当該営利法人が納付すべき相続税は免除されます。

課税対象は被相続人の居住状況によって異なる

被相続人が相続開始日において、居住者か非居住者かによって課税対象範囲が異なります。

相続人課税対象
居住者国内外のすべての相続財産
非居住者国内すべての相続財産

​相続税の連帯納付責任は共同相続人や受遺者にある

相続税の納税義務者の一部が相続税を納付しなかった場合、他の相続税の納税義務者は未納の相続税に対して自己が受けた又は受ける財産の限度で連帯納付する責任を負います。

*各自が受けたまたは受ける財産 = 資産総額 – 負債総額 – 相続税額

税率と控除額

前述のように、贈与税と相続税は納付者と評価時期、課税対象などが異なりますが、税率は同じです。贈与税と相続税の税率は次のとおりです。(課税標準=課税価額 – 控除額)

課税標準税率累進控除
1億ウォン以下10%
5億ウォン以下20%1千万ウォン
10億ウォン以下30%6千万ウォン
30億ウォン以下40%1億6千万ウォン
30億ウォン超50%4億6千万ウォン

税率が同じなので、「贈与や相続、どれをしても関係ないのでは?」という気がしますが、控除額を確認すると考えが変わります。

贈与税控除額(注1)相続税控除額
配偶者控除
6億ウォン
基礎控除
2億ウォン(注2)
直系尊卑属控除(成年)
5000万ウォン
配偶者控除
最低5億ウォンから最大30億ウォン
未成年者控除
2000万ウォン
人的控除
子女控除 一人当たり5000万ウォン
・未成年者控除 一人当たり5000万ウォン×成年(19歳)になるまでの年数
65歳以上の年老者控除 一人当たり5000万ウォン
・障害者控除 ―人当たり1000万ウォン×相続日当時統計庁が告示した期待余名の年数
その他の親族控除
2000万ウォン
一括控除
最大5億ウォン
・基礎控除および人的控除を合わせても5億ウォンより少ないとき、一括控除で控除可能
・配偶者のみ相続する場合、一括控除不可
* 10年間贈与を受けた課税価額を合わせて控除した後、課税* 相続税は、相続開始日前10年以内に贈与した財産を相続した財産に加算して課税

(注1)受贈者が韓国非居住者の場合、贈与税額控除は適用されません。
(注2)被相続人が韓国非居住者の場合、相続税控除額は基礎控除2億ウォンのみです。

表を見ると、相続税の控除額が大きくなり、相続がより有利なのではないかと思いますが、以下の事例を見ると考えがまた変わります。

事例:100億ウォンの財産を10人の子供に遺す場合

相続税= 全体相続を受けた金額 × 税率 – 累進控除
= 100億ウォン×50% – 4億6,000万ウォン
= 45億4,000万ウォン
贈与税= 各自が贈与を受けた金額×税率 – 累進控除
= 10億ウォン×30% – 6,000万ウォン = 2億4,000万ウォン×10人
= 24億4,000万ウォン

​このように贈与税と相続税は、条件によって税額が変わりますので、どっちが有利と定義することはできません。贈与・相続を悩んでいるなら、財産をあげる人ともらう人の関係、財産の価値、贈与・相続前後の資金の流れなど、状況をよく確認してから選択するようにしてください!

出典:韓国国税庁公式ブログ

(注)赤色の注書きは、国税庁公式ブログの記事原文を翻訳する際、日本経営ウィル税理士法人で書き加えた部分です。

日本経営ウィル税理士法人

韓国税務担当 顧問税理士 親泊伸明
韓国税務担当 李 榕濟(イ・ヨンゼ)

本コーナーは一般的な情報をお伝えすることが目的であり、翻訳の限界から正確性・網羅性を保証するものではありません。このトピックスをご参考に意思決定をされて直接・間接に何らかの損害を被られても、一切の責任は負いかねます。意思決定にあたっては専門家に個別具体的にご相談なさってください。

日韓国際相続に関するご相談・お問い合わせ
[韓国税務担当]050-5330-1313

担当:李 榕濟(イ・ヨンゼ)
受付時間9:30〜17:30(土・日・祝日除く)

  • 事業形態 事業・国際税務
    相続・オーナー
  • 種別 レポート

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