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事業再構築補助金を活用する、経費の最大4分の3を補助

事業再構築補助金を活用する、経費の最大4分の3を補助

解説:日本経営ウィル税理士法人
公認会計士 西村 公宏

新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあり、2021年2月28日に近畿圏及び福岡県の緊急事態宣言が解除されました。

首都圏は緊急事態宣言の発出が続いており(※3月21日に解除)、まだまだ油断はできませんが、コロナ禍の「夜明け」を予感させる兆候が徐々に増えてまいりました。 

今後、感染症対策として一部停止されていた経済活動が再開し、現況からの大きな変動が見込まれています。

このような状況下、経済産業省は予算1兆1,485億円を確保して、中小企業等の思い切った事業の再編・再構築を支援する「事業再構築補助金」を打ち出しました。

事業再構築補助金を活用すれば、経費の最大4分の3の補助を受けることができます。(公募開始は2021年3月の予定。経済産業省Webサイト

今回は、アフターコロナの時代を強く生き抜くために最大限活用したい、事業再構築補助金制度の概要をご説明いたします。

事業再構築補助金の趣旨

まず、事業再構築補助金を活用するには、制度の趣旨に沿ったインフラ投資等を行う必要があります。

【事業再建構築補助金の趣旨】
ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと

事業再構築補助金の対象企業

事業再構築補助金を受けることができる対象企業は、「中小企業」「中堅企業」「個人事業主や企業組合等」とされています。

「中小企業」とは、中小企業基本法の定義に従い、以下の「資本金」と「常時使用する従業員の数」の要件のいずれかを満たしている法人となります。

業種資本金常時使用する従業員の数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下

また、「中小企業」とは、法人税法上の中小法人等と定義が異なります。特に、小売業・サービス業や、従業員数の多い会社は要件を満たしているか注意が必要です。

「中堅企業」の定義は未定となっておりますが、「中小企業」の定義に当てはまらない、資本金10億円以下の会社となる見込みです。

「中小企業」か「中堅企業」かによって補助金枠が異なるため、自社がどのカテゴリーに当てはまるかご確認ください。

事業再構築補助金の申請要件

事業再構築補助金の主な申請要件は、3つあります。

1.売上要件

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して、10%以上減少している

コロナ禍でも売上を伸ばしている企業は対象となりません。

また、申請前の直近6ヶ月の売上が減少している企業が対象となります。アフターコロナが見え、売上が回復している企業は対象外となりますので、早めの申請が必要といえるでしょう。

2.事業再構築要件

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う

現在(2021.3.5)、事業再構築指針は明らかになっていませんが、経済産業省のホームページに公開されている事例から、いわゆるニューノーマルへの対応が必要と考えられます。

既存の事業形態と同様のインフラ投資では、この要件を満たさない可能性があるためご注意ください。

※追記 経済産業省より事業再構築指針が追加されました。

3.付加価値を向上する事業計画要件

補助金の審査の合否を分ける一番重要な要件です。

認定経営革新等支援機関と、補助事業終了後3~5年付加価値額増加(3~5%)の達成を見込む事業計画を策定する
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

ニューノーマルに対応した事業計画を立てるだけでなく、その計画により将来の「付加価値」が3~5%増加する見込みが必要です。増大させなくてはいけないものが、営業利益ではなく「付加価値額」であることに注意が必要です。

近年、経済産業省はデフレ解消と国内設備投資を推進するために、様々な政策を打ち出し付加価値額の向上を重視しています。

この制度の要件にも、中小企業に「卒業枠」という特別枠を設け、従業員数の拡大による中小企業からの脱却を想定していると考えられます。

事業計画を策定する際は、人件費の抑制よりも拡大を主眼としたほうが、事業再構築補助金制度の趣旨に合致するといえるでしょう。

事業再構築補助金の対象経費及び補助率

対象経費

事業再構築補助金は、主にインフラ投資を促進する目的で制定された補助金であるため、補助の対象となる経費は、主に「設備投資」に関連するものになっています。

・設備投資関係

建設費、改装費、設備購入費、システム導入費等

・経費関係

外注費、研修費、技術導入費、クラウドサービス費等

・販促関係

広告宣伝費、販売促進費

特に設備投資関係の費用に対する補助は、圧縮記帳と組み合わせると資金繰りに大きなプラス効果を与えることになります。
※経費、販促関係の「関連経費」には上限額が設けられる予定です。

補助率、上限補助率

・中小企業

通常枠補助額 100万円~6,000万円
補助率 3分の2
卒業枠補助額 6,000万円超~1億円
補助率 3分の2

・中堅企業

通常枠補助額 100万円~8,000万円
補助率 2分の1(4000万円超は3分の1)
グローバルV字回復枠補助額 8,000万円超~1億円
補助率 2分の1

※卒業枠、グループV字回復枠については経済産業省ホームページ参照

・緊急事態宣言特別枠

2021年の緊急事態宣言で、売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少した企業が対象となります。

従業員規模に応じて補助額 100万円~1500万円
上記同様補助率 中小企業4分の3、中堅企業3分の2

※従業員規模等については経済産業省ホームページ参照

素早い意思決定で政策を活用する

経営者の皆様は、厳しい状況下におかれてもやるべきことは何なのか、経営判断は常に先手先手で動かなければなりません。マネジメント層の意思決定から実行部隊の実践までには、段取りの時間が必要だからです。

コロナ禍が去るのを待って意思決定しても、先行して意思決定している企業に後れを取ってしまいます。この事業再構築補助金も同様です。

国の政策を上手く活用するための意思決定を迅速に行い、準備を早急に進めることで、より高い効果を得られることができます。

私どもは過去から「ものづくり補助金」や「中小企業税制強化税制」の対応として、事業計画の策定を支援するノウハウを蓄積してまいりました。

事業再構築補助金の活用を検討されている場合は、遠慮なく私どもにご相談ください。

レポートの執筆者

西村 公宏(にしむら きみひろ)
日本経営ウィル税理士法人
公認会計士

2006年公認会計士試験合格後大手監査法人に入社、上場企業等の会計監査業務に従事する。2010年公認会計士登録。2017年にウィル税理士法人(現:日本経営ウィル税理士法人)に入社し、上場企業から零細企業まで幅広い企業の税務・会計顧問業務に携わる。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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  • 事業形態 事業経営
    オーナー・個人
  • 種別 レポート

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