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「住宅ローン控除」と「居住用3,000万円控除」どっちが得か?【税務レポート】

「住宅ローン控除」と「居住用3,000万円控除」
どっちが得か?

解説:税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明

令和7年分の路線価が7月1日に公開される予定です。
公示地価(3月)、固定資産評価額(4月)、路線価(7月)、基準地価(9月)などが公表されると、不動産売買価格の参考にされる方も多いのではないでしょうか?
マイホームを売ったときや購入したときの特例について、考えてみたいと思います。

1.「住宅ローン控除」と「居住用3,000万円控除」

マイホームに係る税制として、「住宅ローン控除」と「居住用財産の3,000万円控除」はよく知られた優遇措置だと思います。

・「住宅ローン控除」とは
住宅ローンを利用して住宅を新築・取得・増改築の際に、一定の要件を満たした場合、毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大で13年間、所得税から控除できる制度です。

・「居住用財産の3,000万円控除」とは
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。

この取得した場合の特例「住宅ローン控除」と売却した場合の特例「居住用3,000万円控除」を併用することはできません。

2.「住宅ローン控除」の6年縛り

「住宅ローン控除」の要件に自宅に住み始めた年と前年、前々年に「居住用3,000万円控除」の適用を受けた場合は適用できないと定められています。また、居住年以後3年以内にかつての自宅を売却し、「居住用3,000万円控除」を受ける場合は「住宅ローン控除」の適用はできないと定められています。

3.「住宅ローン控除」を適用後に「居住用3,000万円控除」を受ける場合の修正申告

「住宅ローン控除」を適用して(居住した年)から3年以内であれば、従前住宅の譲渡をした日の属する確定申告期限までに、「住宅ローン控除」の適用を受けない旨の修正申告を提出し、追加で発生する所得税の納付を行うことで、「居住用3,000万円控除」の特例を受けることができます。
「居住用3,000万円控除」の特例は居住の用に供さなくなった日から3年以内に売却したものにも適用があることから、売却に時間がかかった場合の救済措置と考えられます。
※ただし、先に「居住用3,000万円控除」の特例を適用した場合は修正申告で撤回することはできません。

4.どちらが得か?

例えば、旧マイホームの譲渡益が3,000万円で譲渡税率を20%とすると、3,000万円特別控除を適用した場合の節税額は約600万円(3000万円×20%)と計算できます。
一方、譲渡益が100万円しかない場合の節税額は20万円程度となります。

新たなマイホームを住宅ローンで取得等をし、年末のローン残高が3,000万円だった場合は、
3,000万円×0.7%と初年度の控除額は21万円となり、各年のローン残高を把握する必要がありますが、13年間で200万円くらいは節税になりますでしょうか?

旧居の売却と新居の取得が同一年の場合は、どちらの制度を利用するのが得か?比較的簡単に計算することができます。

5.最後に

「住宅ローン控除」と「居住用3,000万円控除」については、どちらにも適用要件や適用を受けるための手続きについては詳細な決まりがあります。
「住宅ローン控除」と「居住用3,000万円控除」の選択適用(6年縛り)は旧居から新居に住み替える場合にのみ、有利判定が必要となります。
有利判定の計算を難しく感じた場合や、どちらを使うかでお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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2025年06月01日

税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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