令和7年税制改正 子育て世代への支援【税務レポート】


令和7年税制改正 子育て世代への支援
解説:税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明
昨年の12月に令和7年度税制改正大綱が発表され、「103万円の壁」の引き上げが大きな話題を呼びました。この年収の壁の引き上げについては、今後の動向にも注目が集まっていますが、税制改正大綱の中には子育て世代への支援に関する政策税制も盛り込まれています。
Ⅰ. 住宅ローン控除、住宅リフォーム税制の拡充
住宅ローン控除は令和6年度税制改正で、子育て世帯・若い夫婦世帯における借入限度額の上限が拡充されていました。令和6年度の改正時点では、令和6年限りの措置とされていたところ、今回の改正により令和7年入居分まで延長されることとなりました。
そのため子育て世帯・若い夫婦世帯は、令和7年度分についても、認定住宅の控除対象借入限度額5,000万円、ZWH水準省エネ住宅の控除対象借入限度額4,500万円、省エネ基準適合住宅の控除対象借入限度額4,000万円となっています。
なお、延長された上乗せ措置により、所得税額から控除しきれない金額は、現行制度と同様に個人住民税から控除し、個人住民税の減収額は、全額国費で補填するとされています。
また、令和6年度税制改正で追加された子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制についても、令和7年分まで延長されています。
子育て世帯・若い夫婦世帯とは19歳未満の扶養する子のいる世帯又は夫婦いずれかが40歳未満の世帯をいい、「19歳未満の扶養する子のいない40歳以上の夫婦」や「単身者」については適用対象外となります。
Ⅱ. 生命保険料控除の拡充
23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の限度額が6万円に引き上げられました。
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、現行の12万円から変更されていないため、既に限度額に達している場合には、本改正の影響はありません。
本改正は令和8年分限定の措置とされています。
Ⅲ. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
結婚子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、令和5年度税制改正大綱で「制度の廃止も含め、改めて検討する」とされた後も、利用件数が低迷する等の状況にありました。
そのため、関係省庁において、子育てを巡る給付と負担のあり方や真に必要な対応策について改めて検討すべきである、としながらも、現在、「こども未来戦略」の集中取組期間の最中であり、こども・子育て政策を総動員する時期にあることから、適用期限を2年間延長しました。
Ⅳ. 最後に
今回は、令和7年度税制改正に盛り込まれた子育て世代への支援税制を確認しました。
特に目立った改正はなかったものの、子育て世代に対する優遇措置の延長や、生命保険料控除の拡充などの改正がなされました。
また、どの改正(延長)も令和7年度限定とされていますが、令和8年度についても延長がなされる可能性もあるかと思います。今後の動向に注目したいものです。
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2025年03月17日
税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。
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