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税理士の経営・財産・相続トピックスVol.057「人生の『引当金』」

今年度から社会医療法人や大規模医療法人については、監査法人や公認会計士による会計監査が義務付けられています。

公認会計士による会計監査が入るとどうなるか。最近の事例では、東芝の件が思い当たります。「不正会計」により東芝は解体に追い込まれました。会計監査は手強いのです。

会計監査では、会計基準を適切に適用しなければなりません。しかし、一般的に医療法人は、税法にもとづいて会計をしています。

会計基準と税法の代表的な違いに、「引当金」があります。

会計基準では、「退職給付引当金」や「賞与引当金」を計上します。しかし税法では「貸倒引当金」しか損金として認められません。

会計監査が必要な医療法人では、これらの引当金が強制的に計上されるのです。

例えば「退職給付引当金」はわかりやすく言うと、「従業員および役員が辞めたら退職金をいくら支払わなければならないのか」ということです。

この引当金で、債務超過になる大規模医療法人も存在します。また、債務超過になると銀行の対応も厳しくなります。

「引当金」は将来に予想される支出(あるいは損失)を見越して、会計上で積み立てるものです。

退職金は明日必要ではありませんが、将来は必ず支払わなければなりません。それを今から準備しましょうというものです。

会計基準では永続して企業が発展することを前提にしていますので、将来のリスクおよび支払いを備えているかどうかが重要視されるのです。

企業だけではなく、個人におきかえても将来の支払に備えることは重要です。

子供の教育資金、自宅の建替え、老後の資金、親のこと、等々。

待ち構えている支払は、枚挙に暇がないのです。

個人に会計基準はありませんが、「人生の引当金」を今から考えてみましょう。

2018年6月1日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
    医療・介護
    相続・オーナー
  • 種別 トピックス

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