お役立ち情報

外国人投資家・外国企業のための日本への投資・事業進出情報Vol.3「2021年税制改正大綱における外国人に関連する相続税の改正」

EnglishChinese Korean

グローバルなビジネスモデルの構造変化とともに、日本においても外国企業及び多国籍企業の積極的誘致が進む一方で、国際課税の強化の動きもスピードと複雑化は増している。本レポートでは、外国の投資家の方々及び外国企業に、日本における事業展開と税務について実務情報をお伝えする。

解説:日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二


2021年税制改正の概要

国際金融都市に向けた税制上の措置として、日本の国際金融センターとしての地位の確立に向けて、海外から事業者や人材、資金を呼び込む観点から相続税においても下記の措置が講じられることになる。

これは、高度外国人材の日本での就労等を促進する観点から、就労等のために日本に居住する外国人にかかる相続等については、その居住期間にかかわらず国外に居住する外国人や日本に短期的に滞在する外国人が相続人等として取得する国外財産を相続税等の課税対象にしないこととする改正である。

まだ税制改正大綱の段階であり、詳細は後日に公表されることになるが、概要としては下記のとおりである。(「在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格をいう)

1. 相続人又は受贈者国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国外に居住する外国人等
2. 被相続人又は贈与者相続開始の時又は贈与の時において国内に居住する在留資格を有する者
3. 取得する財産と課税上記1の相続人又は受贈者が、上記2の被相続人又は贈与者から相続、若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さない。

この改正による例示ケース

例えば、米国企業の外国人である社員が駐在員として上記の在留資格をもって日本に赴任し12年経過した、そのときに相続が発生し、米国に居住する配偶者が日本国内の資産(国内財産)と、日本国外の資産(国外財産)を取得した場合、米国に居住する配偶者が取得した日本の国内財産についてのみ日本の相続税の課税対象になる。

このケースにおいて、改正前の相続税においては被相続人(駐在員)の日本における居住期間が10年(相続開始前15年以内に10年以上居住している場合)を超えているため米国に居住している配偶者は、取得した日本の国内財産と国外財産の両方について日本の相続税の課税対象になることになる。

従って、この改正により外国人に関連する相続税の課税対象は一定の条件に該当する場合、その課税対象は緩和されることになる。

(注)令和2年12月10日に発表された令和3年度税制改正大綱に基づき概要を抜粋して記載しており、実際の法律改正と詳細の規定では異なる可能性があること、具体的実務に際しては、法律・政省令・通達等をご確認の上、事前に税理士等専門家にご相談下さい。

バックナンバー

2021年1月20日

日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
  • 種別 レポート

関連する事例

株式が個人株主に分散して困っている/税理士の相続・事業承継対策の提案vol.002

  • 事業・国際税務
  • 相続・オーナー

関連する事例一覧を見る

関連するお役立ち情報

自然災害に備え「事業継続力強化計画」を策定

  • 事業・国際税務

関連するお役立ち情報一覧を見る