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海外展開の次の一手に|インド進出支援で実現するビジネス成長

海外展開の次の一手に|インド進出支援で実現するビジネス成長

解説:税理士法人日本経営

はじめに

世界最高水準の成長エンジンを持つインド市場は、製造・ITの両分野で莫大なポテンシャルを秘めています。しかし、実際に参入するとなると、インド特有の複雑な法制度や税務リスクが大きな壁となります。これらを独力で乗り越えるのは容易ではありません。日本企業がインドで確実に成果を出すためには、現地の事情を踏まえた、極めて精緻な戦略立案が不可欠です。

本レポートでは、インド進出支援サービスを活用して成功を収めた日本企業の事例のご紹介とともに、市場調査から事業開始後の継続支援まで一貫したロードマップを解説します。海外展開の次の一手として、インドを検討されている経営者の皆さまが、リスクを最小化しながらビジネス成長を実現するための実践的な情報をお届けします。

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1.【事例に見る】支援活用で成功した日本企業の共通点

インド進出に成功した日本企業には、ある共通した「戦略パターン」があります。それは、外部支援を効果的に活用することです。これにより、立ち上げ期のスピードアップや、既存拠点の健全化、さらには長期的な安定成長という成果を確実なものにしています。

事業立ち上げ期の「スピード感」を重視した製造・IT企業のケース

インド政府が推進する「Make in India」(※01)政策や生産連動型インセンティブスキーム(PLI:Production Linked Incentive)を活用した製造業・IT企業の進出事例が増加しています。2026年3月には、電子部品製造優遇スキーム(ECMS:Electronics Component Manufacturing Scheme)において、新たに22件の提案が承認されるなど、政府による製造エコシステムの強化が加速しています(※02)。

これらのインセンティブ制度は、国内の電子機器製造基盤の強化を主眼としており、多くの国内外企業がこの枠組みを利用してプロジェクトを推進しています。各州政府が提供する投資優遇策やワンストップ型の支援体制をいち早くキャッチアップし、活用した企業は、生産能力の早期確立を通じて市場での優位性を確保しています。

進出支援サービスを活用し、複雑な行政手続きを効率化することで、最短期間での操業開始を実現した成功事例も数多くあります。通常、製造業の操業開始には環境許可等の取得を含め1年以上の準備期間を要しますが、専門家の知見に基づき許認可のボトルネックを解消することが、早期の収益化を実現する鍵となります。

既存拠点の「再編・健全化」で利益率を改善した管理部門の事例

既にインドに拠点を持つ企業においても、進出支援サービスの活用が有効です。GST(物品・サービス税)制度の改革や関税率の簡素化が進む中、税務コンプライアンスの見直しによって利益率を改善した事例が報告されています。

改善項目 支援活用前の典型的な課題 支援・見直し後に期待される状態
税務申告とペナルティリスク 申告スケジュールや要件の把握不足により、遅延やペナルティが発生しやすい。 申告カレンダーや内部手続を整備することで、適時適切な申告が行われ、ペナルティリスクが低減。
移転価格文書の整備状況 関連者間取引の把握や文書化が不十分で、移転価格税制上の追徴リスクが存在。 インドの移転価格文書化規定に沿ったマスターファイル・ローカルファイル等を整備し、リスクを抑制。
経理・税務関連業務の工数 現地法令対応・報告業務が属人化し、本社・駐在員の負担が大きい。 業務プロセスの標準化や外部専門家の活用により、内部リソースの負担軽減と業務の効率化が図られる。

管理部門の業務を外部専門家に委託することで、本社からの駐在員を最小限に抑えながら、現地法規制への適合性を高めることが可能です。

外部専門家とのパートナーシップがもたらす長期的な安定成長

インド市場での成功企業は、単発のコンサルティングではなく、継続的なパートナーシップを構築しています。GCC(グローバル・ケイパビリティー・センター)の設立が増加する中、R&D・IT拠点として現地化を進める動きが加速しています(※03)

長期的なパートナーシップの効果として、以下の点が挙げられます。

  • 法改正や税制変更への迅速な対応が可能になる
  • 現地人材の採用・育成に関する知見を継続的に得られる
  • 事業拡大時の追加投資判断に必要な市場情報を随時入手できる

浜松商工会議所とグジャラート商工会議所の覚書締結(※04)に見られるように、日本とインドの経済連携が強化される中、信頼できる現地パートナーの存在が重要となっています。

2.成功へのロードマップ:支援サービスを活用した進出のステップ

インド進出を成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。市場調査から法人設立、稼働後の継続支援まで、各フェーズで適切な支援を受けることでリスクを最小化できます。

市場調査・FS:Feasibility Studyから始まる戦略策定

インド進出の第一歩は、自社製品・サービスの市場適合性を検証するFS(フィジビリティスタディ:事業化調査)です。インド政府の「Viksit Bharat」構想(※05)のもと、2047年までに先進国入りを目指す国家戦略が進行しており、インフラ、デジタル、クリーンエネルギーなど多岐にわたるセクターで具体的な数値目標を掲げています。自社の事業がどのセクターに参入する機会があるかを見極める必要があります。

FSで検討すべき主要項目は以下の通りです。

  • 対象市場の規模と成長率の予測
  • 競合企業の動向と自社の差別化ポイント
  • PLIスキームや税制優遇の適用可能性
  • サプライチェーン構築の実現可能性
  • 初期投資額と投資回収期間のシミュレーション

JETROや現地コンサルタントが提供する市場調査レポートを活用することで、調査期間を短縮することも可能です。

法人設立とライセンス取得:最短ルートで事業を開始するために

インドでの法人形態は、現地法人(Private Limited Company)、支店(Branch Office)、駐在員事務所(Liaison Office)、プロジェクトオフィス、LLPの5種類があります。事業目的や投資規模に応じて最適な形態を選択することが重要です。

法人形態 特徴 適した用途
現地子会社 独立した法人格を持ち、事業活動に制限なし 製造・販売・サービス提供
LLP(有限責任事業組合) 法人と組合の中間的な性格を持ち、税務面(配当課税がない等)でのメリットがある 専門的サービス業や、意思決定の柔軟性を求める小・中規模事業
支店 本社の延長として活動、収益送金に制限あり プロジェクト単位の事業
プロジェクトオフィス (PO) 特定の契約・プロジェクトを遂行する期間中のみ、一時的に設置が認められる法人格 インフラ建設、プラント設営などの有期プロジェクト
駐在員事務所 営業活動は不可、市場調査・連絡業務のみ 進出前の情報収集

法人設立後は、業種に応じたライセンス取得が必要です。環境許可、工場ライセンス、輸出入ライセンスなど、複数の許認可を並行して取得するには、現地法規に精通した支援機関との連携が不可欠です。

稼働後の継続支援:会計・税務・監査のワンストップ体制

インドでは会計年度が4月〜翌3月であり、企業の規模や形態に応じて、インド会計基準(Ind AS)または従来の会計基準(AS)への対応が求められます。特に多くの中小規模拠点では、簡易的な「AS」の適用が一般的です。また、GST(物品・サービス税)やTDS(源泉徴収税)など、複雑かつ頻繁な申告実務が発生します(※06)。

支援体制で提供される主なサービス:

  • 月次・年次の会計帳簿および財務諸表作成(AS/Ind AS対応)
  • GST(物品・サービス税)、TDS(源泉徴収税)、法人税等の各種税務申告
  • 移転価格文書の作成と税務調査対応
  • 法定監査人との連携・監査対応支援
  • 給与計算・社会保険手続き代行

インドの制度上、法定監査は独立した監査人が行う必要がありますが、会計実務と監査対応を専門家に一元的にサポート(窓口一本化)してもらうことで、管理コストを抑えつつ法令遵守を両立できます。特に現地に専門スタッフを置けない中堅企業にとって、大きなメリットとなります。

まとめ

インドは世界最高水準の成長エンジンを持ち、PLI(生産連動型インセンティブ)スキームや税制優遇など外国企業を呼び込む政策が充実しています。一方で、複雑な法規制や税制への対応には専門的な知見が必要であり、進出支援サービスの活用が成功の鍵となります。

市場調査から法人設立、稼働後の会計・税務まで一貫した支援体制を構築することで、リスクを抑えながらビジネス成長を実現できます。ジェトロや商工会議所などの公的支援も積極的に活用し、信頼できる現地パートナーとの連携を進めることをお勧めします。まずは進出の戦略的意義を明確化し、精緻なフィジビリティスタディ(FS)によって事業の妥当性を検証することが、リスクを最小化し成功の確度を高めるための第一歩となります。

NIHON KEIEI (INDIA) PRIVATE LIMITEDは、日本経営グループ(1967年創業)のメンバーファームとしてインドに設立いたしました。日本とインドの両面から一括してお客様のビジネスのサポートが可能ですので両国が関わる問題も安心してご相談ください。

※出典01:インド首相官邸(PMO)「Make in India」キャンペーン4つの柱について
※出典02:インド電子情報技術省(MeitY)による政府広報「政府は、電子部品製造スキーム(ECMS)の第3トランシェに基づく22の提案を承認しました。」最終更新日: 2026年3月5日より
※出典03:ジェトロ(日本貿易振興機構)「インドにグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)を置く魅力」2025年5月29日更新より
※出典04:日本経済新聞報道「浜松商工会議所、インドの経済団体と覚書 産業連携へ関係深化」2026年1月14日更新より
※出典05:インド教育省「PM launches ‘Viksit Bharat @2047: Voice of Youth’」2023年12月11日更新より
※出典06:ジェトロ(日本貿易振興機構)税制 | インド – アジア 2025年10月01日更新より

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レポートの監修者

杉田 周平(すぎた しゅうへい)
NIHON KEIEI (INDIA) PRIVATE LIMITED
Director

2016年に日本経営ウィル税理士法人(現:税理士法人 日本経営)に入社。2年目から海外事業に抜擢され、2018年にはフィリピン拠点を立ち上げて現在も取締役として運営に携わる。2024年7月からはインドに赴任し、日系企業の進出支援やM&A対応、会計アウトソーシング、税務調査など、インド市場に特化した幅広いサポートを行っている。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
  • 種別 レポート

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