さまざまな税額控除【税務レポート】


さまざまな税額控除
解説:税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明
個人所得税(以下「所得税」)や法人税を計算するにあたり、課税所得金額に税率を乗じて算出した税額から一定の金額を控除できるものを税額控除といいます。
所得税及び法人税の両方で適用可能な税額控除も存在し、代表的なものとして賃上げ促進税制が挙げられます。それ以外にも多くの税額控除がありますが、今回は所得税における税額控除に焦点を当てて、いくつか紹介したいと思います。
1.住宅ローン控除
個人所得税で代表的な税額控除といえば住宅ローン控除ではないでしょうか。
この制度は、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除する制度です。
上述した賃上げ促進税制を適用できる個人は、事業をしている方に限られてしまいますが、住宅ローン控除については事業をしているしていないに限らず適用を受けることができます。
また、給与所得者については、1年目に確定申告をすると2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。
2.配当控除
株式に係る配当等を受け取っている方は配当控除の適用を受けることができます。
配当控除の適用を受けることができるのは、総合課税の配当所得がある場合に限られ、原則、配当所得の10%または5%の税額控除を受けられます。
なお、分離課税を選択した配当所得については配当控除の適用を受けることはできません。そのため、総合課税として配当控除の適用を受ける場合と分離課税の場合とで、どちらが有利かを検討する必要があります。
3.寄附金控除
政党や政治資金団体に対して政治活動に関する寄附をした場合には、寄附金控除(政党等寄付金特別控除)を受けることができます。
また、認定NPO法人や公益社団法人等に対して一定の寄附をした場合にも寄附金控除(認定NPO法人等寄付金特別控除、公益社団法人等寄付金特別控除)を受けることができます。
政党等寄付金特別控除については、支出寄附金の額から2,000円を差し引いた額の30%相当額の税額控除を受けることができます。
一方、認定NPO法人等寄付金特別控除や公益社団法人等寄付金特別控除については、支出寄附金の額から2,000円を差し引いた額の40%相当額の税額控除を受けることができます。
なお、これらの寄附金控除についてはその年分の所得税額の25パーセント相当額を限度とするため、所得控除と税額控除のどちらが有利かを検討する必要があります。
また、寄附金控除と聞くとふるさと納税を思い浮かべる方も多いと思いますが、ふるさと納税の場合は所得控除の適用しか受けることができず、税額控除を適用することはできません。
4.最後に
今回は所得税に関する税額控除を確認しました。今回取り上げた制度以外にも、外国税額控除や分配時調整外国税相当額控除、中小事業者が機械等を取得した場合の特別控除など多数の制度が存在します。
なお、税額控除の適用を受けるにあたっては、その適用を受けたことにより納める税額が無かったとしても、必ず確定申告を行う必要がありますのでご留意ください。
場合によっては節税効果が大きくなることもありますので、確定申告の際は是非ご検討ください。
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2025年08月01日
税理士法人日本経営
代表社員税理士 吉本 英明
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。
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