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今年の診療報酬改定でクリニックのオンライン診療は増える!?導入を決めたクリニックの実態とは!?

2020 年 4 月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、時限的・特例的な取り扱いとして、電話等を用いた診療による初診料(214 点)、再診料(73 点)、医学管理料(147 点)の算定が可能になって 2 年が経過しました。2022 年 4 月の診療報酬改定では、これまで時限的・特例的とされてきた、オンラインによる初診を恒久的に認める改定がなされました。ポストコロナもオンライン診療は加速していくのでしょうか、実際に導入を開始したクリニックの事例を少しご紹介します。

2022 年 4 月の診療報酬改定で何が変わったのか?

オンライン診療料が廃止され、「情報通信機器を用いた診療」の施設基準が定められました。
新施設基準を届け出た場合:初診料 251 点、再診料 73 点
上記以外:初診料 214 点、再診料 73 点(※臨時特例の継続。)
医学管理料も「情報通信機器を用いて行った場合」の評価が新設されました。

オンライン診療のためのシステムどうしてる?

①オンライン診療専用のシステムを利用する場合

クリニクス、クロン、LINE ドクターといったオンライン診療専用のシステムを利用する方法です。サービスによって、導入費用やランニングコストは様々ですが、予約システムや決済機能が充実している、導入時のサポートが受けられるなどのメリットがあります。

②汎用システムを利用する場合

WEB 会議などで一般的に利用される、Zoom や Skype、Teams などを使う方法です。導入費用や月額利用料がかからないといったコスト面でのメリットがあります。しかし、予約管理や決済サービスは別途必要になるため、運用面での工夫が求められます。

実際、導入後のオペレーション上手くいっているの?

オンライン診療を行っているクリニックでは、オンライン対応の時間を決めているところと、特に外来とオンラインを区別せずに、同じ時間帯で行っているところとに大別されます。

①オンライン対応時間を決めているパターン

午前診と午後診の間の時間をオンライン診療に充てている、午後診後の時間をオンライン専用時間にしているなど、時間を決めて対応しているクリニックです。予約管理は比較的容易で、中にはスタッフを介さず、ドクターのみで終始対応しているというクリニックもあります。忙しいサラリーマンをはじめ、診療時間中に受診できない方が昼休みや夜の時間に対応してもらえるならと喜ばれるケースが多いようです。

②外来とオンラインでの診療を順次行っているパターン

オンライン専用時間帯を設けることなく、外来の時間に随時オンライン診療も受け付けているクリニックです。外来患者の診察が長引き、オンライン予約の時間になってしまったということも起こりえるため、オペレーションが重要になってきます。オンラインは、1スタッフがまずは対応し、注意事項や診療の流れを説明、2ドクターの診察が空いたタイミングでドクターに繋いで診察、3診察後は再度スタッフが処方箋や決済方法の案内をする、といった流れにしているところが多いです。それでもトータルの時間としては大体 10 分以内です。
高齢で寝たきりの患者さんなどは、ご家族が付き添って来院されるケースが多いと思いますが、オンラインで診てもらえることで、ご家族の負担が減り、喜ばれたという話もよくお聞きします。

オンライン診療導入しているところは、実際採算取れているの?

①保険診療

対面と違い、オンラインでできる診察は限られますし、算定できる点数も多くはないため、どうしても単価は低くなります。それでも、オンラインによる初診料算定が認められたこと、医学管理料の算定が可能になったことで、以前よりは大分診療単価も上がりました。慣れてくれば、患者数も安定的に診察できるため、収益化しやすくなってきています。

②自由診療

美容目的のドクターズコスメやサプリメント、ダイエット薬の処方など、自由診療では比較的単価が高く設定できるため、オンラインでも十分に利益を見込めるようです。また、緊急避妊薬や AGA 治療薬の処方といった、患者が来院に抵抗のある症状の場合も有効です。初めはオンラインでの自由診療から始めて、慣れてきたら保険診療も行うという始め方も有りかもしれません。

③諸費用

処方箋や薬剤の郵送料、情報通信機器の運用に要する費用(通信料等)を患者から別途徴収することも可能です。また、自由診療の場合、システム利用料として予約料を別途徴収されているクリニックもあります。
なお、保険診療の場合、予約料は徴収できませんが、郵送料や通信料の徴収は可能です。500 円~1,000 円程度を徴収されているところが多いです。諸費用の500 円を高いと感じるかどうかですが、クリニックを訪れて受診するにしても交通費が掛かりますので、それ程負担に感じる患者さんは少ないのではないでしょうか。

オンライン診療の今後。経験者は戻れない?

まだまだ、オンライン診療を導入しているクリニックは多いとは言えない状況ですが、一度オンライン診療を受けられた患者さんは、その後も継続してオンラインを希望される割合が高いそうです。
我々も在宅ワークや WEB ミーティングを経験してしまうと、以前のように出社したり、集まって会議をすることが非効率に感じてしまうということがあると思います。もちろん、オンラインでの診察には限界があり、対面での診察にかなうものでないことは重々承知しています。それでも、患者さんにとってオンライン診療が選択肢の一つに加わったという事実をどう捉えるか、難しい経営の舵取りが求められそうです。

  • 事業形態 医療・介護
  • 種別 レポート

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