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クリニックにおける2022年“春”昇給の傾向とは?

解説:日本経営ウィル税理士法人
宮前尭弘


コロナ禍前(2019年)の昇給幅との比較

昇給幅を維持 84% (342件)
常勤・非常勤ともに昇給幅を上げる 6% (24件)
常勤のみ昇給幅を上げる 2% (9件)
非常勤のみ昇給幅を上げる 1% (6件)
昇給・非常勤ともに昇給幅を下げる 5% (20件)
常勤のみ昇給幅を下げる 1% (6件)
非常勤のみ昇給幅を下げる 1% (4件)

※n=411件、2019年の昇給額と2021年の昇給予定額にて比較

クリニックの収入は2019年と比較して回復傾向に

クリニックの収入は、前回の調査から継続して回復傾向に

当社のお客様への調査によると、2021年春から、大半のクリニックは収入が回復傾向にあり、2020年春の緊急事態宣言下から続いていた来院患者減少も、落ち着きを見せています。データによると、2021年12月の保険診療収入は、全診療科平均でコロナ禍以前の2019年12月と比較して約98%という結果となりました。

診療科目による回復傾向の違い

※当社調査(2021年12月と2019年12月の保険収入の比較 / n=419件)より

小児科:117%

耳鼻咽喉科:81%

消化器内科:115%

外科:95%

眼科:101%

皮膚科:98%

整形外科:101%

歯科:106%

内科:95%

心療内科:105%

診療科目による違いはどうでしょうか。

2020年に影響の大きかった診療科目である小児科・消化器内科は特に回復の兆しが強く、2019年12月と比較して約117%・115%と、コロナ禍以前の年度を上回る収入となったクリニックも多くみられました。

眼科・整形外科・内科・歯科も、2020年に比較的影響が大きい診療科目でしたが、2021年はコロナ禍以前の年度を上回る収入となっているクリニックが多くみられます。

一方で、心療内科・皮膚科は2019年~2020年における患者数の減少が緩やかで、今年にかけての回復も堅調です。2019年と比較して100%を上回る先が多くありました。

また、耳鼻咽喉科・外科は影響が続き、同期間で比較すると81%~95%となっています。

今年の賞与をどう考えたのか

当社顧客の昇給アンケート回答から見える傾向 2019年より増額は9%

411件の医科・歯科クリニックに2022年春の昇給をどのように設定したかアンケートを行ったところ、全体の約84%を占める回答は「コロナ禍前(2019年)通りの昇給幅を維持する見込」であり、そのほとんどが、2021年の春季昇給幅を「例年通り昇給する」と回答していたクリニックでした。

全体の約9%のクリニックで「コロナ禍前(2019年)よりも昇給幅を上げる」との回答が得られました。

2021年において、春季昇給幅を「2019年よりも抑えており今年は、例年の水準まで回復させるといったケースの他に、一方で、「コロナ禍前(2019年)よりも昇給幅を下げる」と回答した全体の約7%のクリニックは、現在もコロナ禍による影響を受け減収しているケースであり、先行きを懸念して予算額を抑える傾向がみられました。

上記のように判断した理由(ヒアリング内容より抜粋)

昇給幅を維持する:

(消化器内科) 昨年も例年通り昇給し、今年も維持する。
(眼科) 医院の収入も回復してきたので例年通り昇給する。
(婦人科) 昨年の昇給時に大きく上げたが、今回は例年通りの上げ幅。
(内科) 資金繰りの観点から、例年通りでいく。
(内科) コロナ業務に関しては都度手当で支給しているため昇給幅は大きく変えない。
(眼科) コロナによる減収の影響が少ないため。
(内科) 収入に変化がないため。

昇給幅を上げる:

(眼科) 新スタッフ採用時にベースアップしたため。
(耳鼻咽喉科) 所得拡大税制の拡充を鑑みて人件費を増やす。
(内科) パートドクターのみ例年よりも上げる。集まりにくいため。
(眼科) 人手不足やスタッフが定着しなかったので、ベースアップを行う。
(内科) コロナワクチン発熱外来の対応があり昇給幅を増加する。
(皮膚科) 収入の回復で、昇給幅も増加。
(循環器内科) 採用が難しくなっているので能力によって昇給幅を大きくする。
(整形外科) 最低賃金上昇による募集条件の見直しに伴って。

昇給幅を下げる:

(耳鼻咽喉科) 感染者拡大により収入の先行きが不透明のため。
(歯科) 粗利益率や貢献度などを加味して判断している。
(循環器科) 特定の人のみ下げるので診療所全体にはそれほど影響はない。

アフターコロナのクリニック経営を見据えて

このように、2022年の春季昇給では、コロナ禍の影響が落ち着いており昇給も例年通りの水準に戻すクリニックが多く見られました。一方で、2021年10月の最低賃金の引き上げを受けての『ベースアップ』や『職員募集条件の見直し』により、人件費計画の刷新を検討されているケースもあります。

昇給は、職員のモチベーションを上げるために有効な施策ですが、職員間のバランスが偏ってしまいトラブルに繋がったり、毎年、定額を昇給したところベテラン職員に対して想定以上の金額の給与を支払うことになった、という場合もあります。

専門家と共に、将来を見据えた施策を検討されたい方は、お気軽にお問合せください。

解説:医療事業部 宮前尭弘

本稿はご回答時点における一般的な内容を分かりやすく解説したものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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