納税者の権益侵害が起きたら? 納税者保護委員会が共にします!/韓国の税務情報
納税者の権益侵害が起きたら? 納税者保護委員会が共にします!(出展:韓国国税庁公式ブログ 2022/5/12)
※韓国の税務・経済・法律情報から注目のトピックスをピックアップし、日本語に翻訳してお届けします
国税庁は国税行政執行過程においても納税者の権益が保護されるように本庁と全国地方国税庁および税務署に納税者保護委員会を設置·運営しています。
特に2018年からは地方庁·税務署納税者保護委員会の審議結果に異議があり再審議を要請する場合、本庁納税者保護委員会が再び公正・透明に審議を行うことにより納税者の権利をより厚く保護しています。
また、納税者保護委員会は独立性と公正性を確保するために納税者保護(担当)官を除き全員が法律·税務·会計分野で経験豊富な民間委員で構成し、委員長も民間委員の中から委嘱しています。
<納税者保護委員会 構成現況>
区分 | 国税庁(本庁) | 地方庁 | 税務署 | |
委嘱 | 委嘱委員 | 16名 | 18名以内 | 14名以内 |
民間委員 | 15名 | 17名以内 | 13名以内 | |
内部委員 | 納税者保護官 | 納税者保護担当官 | 納税者保護担当官 | |
委員長推薦 | 企画財政部長官 | 地方国税庁長 | 税務署長 | |
会議構成 | 9名 | 9名 | 7名 | |
会議議決 | 会議構成委員の過半数が出席し出席委員の過半数が賛成 |
違法·不当な税務調査には納税者保護担当官に権利保護を要請してください!
国税行政執行過程で違法・不当な税務調査などで権益を侵害された場合、納税者保護担当官に権利保護を要請することができます。
権利保護要請が受け付けられれば地方庁·税務署納税者保護委員会が最初に審議し処理し、その審議結果に異議がある場合、結果の通知を受けた日から7日以内に国税庁長に決定の取り消しまたは変更を要請することができます。
<納税者保護委員会 審議対象>
区分 | 地方国税庁・税務署委員会 | 国税庁(本庁)委員 |
税務調査分野 | ①違法・不当な税務調査及び税務公務員の違法・不当な行為 ②中小規模納税者※の税務調査期間延長及び範囲拡大に対する異議提起 ③中小規模納税者以外の納税者の税務調査期間延長及び範囲拡大承認 ※中小規模納税者:年間収入金額又は譲渡価額が100億ウォン未満の事業者 | 権利保護要請 再審議①②③ |
④税務調査時の帳簿等の一時保管期間延長 | ー | |
一般国税行政分野 | ⑤申告内容確認手続き未順守 ⑥現場確認時の無理な資料要求または事実関係確認 ⑦苦情など納税者の権利保護のために納税者保護担当官が審議が必要と認める案件 | ー |
<納税者保護委員会審議手続き>
①納税者: 審議要請(調査終了日まで)
②地方庁・税務署: 納税者保護委員会審議、決定通知(20日以内)
③納税者: 再審要請(7日以内)
④国税庁: 納税者保護委員会再審議、決定通知(20日以内)
納税者保護委員会、これまでの運営成果、信じて任せてください!
公正な審議を通じた納税者の権利保護
地方庁·税務署納税者保護委員会は2021年税務調査分野の権利保護要請71件を審議し、中断18件、期間延長·範囲拡大制限5件など計23件を是正しました。
また、苦情など一般国税行政分野に対する納税者の権利救済申請507件を審議し、275件を認容し、大規模納税者に対する税務調査期間延長·範囲拡大申請688件を審議し、133件を不(縮小)承認し納税者の権利を保護しました。
国税庁納税者保護委員会は2021年40件の税務調査分野の権利保護要請を再審議し、中断12件、範囲拡大制限1件など計13件を是正しました。
納税者保護委員会は税務調査の目的と実施経緯、質問·調査権の行使可否などを総合的に考慮して公正で透明な是正可否を審議しており、国税庁納税者保護委員会の審議事例は「国税法令情報システム」と「納税者権益24」を通じて公開しています。
制度改善勧告を通じた国税行政改善
国税庁納税者保護委員会は関連法令により委員会審議過程で納税者の権利保護のために必要と認められる事項を案件に上程して審議を経た後、所管部署に制度改善を勧告しています。
2020年1月1日、国税庁納税者保護委員会委員長の案件上程権限を法制化し、昨年4件の制度改善事項を勧告し履行を完了しました。
<国税庁納税者保護委員会 制度改善勧告現況>
①「脱税通報 電算管理システム」運営管理改善 (2021年4月) | |
▸脱税通報が適時に税務調査に活用できるように電算管理システムの改善が必要である | ▸脱税通報の遅延受付および必要記載事項の漏れを防止できるように業務手続きを改善 |
②「参考人に対する事実関係確認手順」 明確化 (2021年4月) | |
▸調査対象者ではない参考人に対する事実関係確認手順を明確にする必要がある | ▸参考人は質問·調査対象ではないので過料賦課対象ではないことを明確に規定 |
③「国外資料収集を理由とした税務調査中止」改善 (2021年12月) | |
▸国外資料収集に伴う税務調査中止期間を目的に合わせて定める必要がある | ▸税務調査中止期間のガイドラインを設け、中止期間算定事由等の案内を強化 |
④「監査疎明に必要な資料要求」運営管理改善 (2021年12月) | |
▸内部監査による解明資料提出要求手続きを改善する必要がある | ▸解明資料要求を最小化し税務調査と誤認される事例がないように管理·監督強化 |
納税者の権利保護のためにより細心の努力をします。
国税庁はより細かく納税者の権利を保護するために持続的に制度を改善しており、2022年5月6日に施行した「納税者保護事務処理規定」の主要改正内容は次の通りです。
1.税務調査立会い制度の活性化
これまで業種別収入金額、資産総額、資本金など複雑だった申請基準を収入金額に一本化して納税者の申請の便宜を改善し、申請対象収入金額基準を引き上げ(個人10億ウォン、法人20億ウォン未満)、立会い申請対象者を拡大しました。
(注)税務調査立会い制度とは、税務調査公務員が調査手順を順守し、調査の過程で違法行為がないか確認するために国税庁の納税者保護担当官が調査現場に立ち会うことをいいます。申請対象者について収入金額基準が定められています。
2.少額苦情処理期間短縮
零細納税者の税金に関する苦情を迅速に解決するために請求税額100万ウォン未満の小額苦情に対して苦情処理期間を短縮(14日以内→10日以内)しました。
3.権利保護要請制度の事前案内
税務調査期間延長·範囲拡大に納税者が積極的に対応できるよう調査チームが期間延長·範囲拡大承認を申請する場合、納税者保護担当官が納税者に権利保護要請制度を事前案内するようにしました。
4.制度改善勧告の強化
国税行政に対する幅広い改善提案が行われるように、国税庁納税者保護委員会案件上程権限を地方庁納税者保護委員会委員長にも付与しました。
出典:韓国国税庁公式ブログ
(注)赤色の注書きは、国税庁公式ブログの記事原文を翻訳する際、日本経営ウィル税理士法人で書き加えた部分です。
日本経営ウィル税理士法人
韓国税務担当 顧問税理士 親泊伸明
韓国税務担当 李 榕濟(イ・ヨンゼ)
本コーナーは一般的な情報をお伝えすることが目的であり、翻訳の限界から正確性・網羅性を保証するものではありません。このトピックスをご参考に意思決定をされて直接・間接に何らかの損害を被られても、一切の責任は負いかねます。意思決定にあたっては専門家に個別具体的にご相談なさってください。
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