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親が返済した高額借入金「便法贈与」税務調査に着手/韓国の税務情報

親が返済した高額借入金「便法贈与」税務調査に着手
(出展:韓国国税庁公式ブログ 2022/2/3)

※韓国の税務・経済・法律情報から注目のトピックスをピックアップし、日本語に翻訳してお届けします

日本でも、子供が借入金を返済する能力があるにも関わらず親が代わりに返済した場合は、贈与税がかかります。 ただし、子供が資力を失い返済能力がないため親が代わりに返済した場合は、贈与税はかかりません。

今回は、子供の借入金を親が代わりに返済する等、正当な税負担なしに資産を次世代に移転した場合の韓国の税務調査例をご紹介します。

コロナ禍が長期化する中で、家計負債の増加、急な市場金利の上昇傾向に庶民の借入金返済負担が増えています。

このような状況で、一部の富裕層は、財産取得と消費生活はもちろん、借入返済に至るまで、親の経済力を利用しながらもこれを隠蔽するなど、変則的な脱漏行為を通じて正当な税負担なしに富を移転し、資産両極化を深化させ国民に喪失感を与えています。

国税庁は、借入増減内訳と所得及び消費パターン分析を強化し、自力なく財産を取得したり、借入金を返済した疑いがある場合には、直ちに資金出処調査できるようにし、正当な税金申告・納付義務を履行しない脱税嫌疑者を抽出し、税務調査に着手しました。

親が借入金を代わりに返済するなど「親チャンス」利用した227人の調査対象

今回の調査対象者は、本人の力で融資を返済したり、財産を取得したかのように偽装したが、実際は「親チャンス」を利用したり、所得申告漏れで富を成した者227人です。

(注:親チャンスとは、一人の力では解決できないことを社会的に影響力のある父親や母親を通じて解決することを指す新造語)

親の力を借りて富を蓄積した金スプーン母カ族41人

(注:金スプーン母カ族とは、裕福な家に生まれて母のクレジットカードで生活する人をいう新造語)

専門職高所得者の父親から高額なアパート取得資金〇〇億ウォンとオフィステル保証金〇億ウォンの贈与を受けて、贈与を受けた不動産で担保された金融債務の元金及び利子まで父親が代わりに弁済するなど便法贈与を受けた疑いの子供A、Bとその父親Cについて個人統合調査、資金出処調査を同時に着手しました。

(注:便法贈与とは、本来の手続きをせずに贈与することを意味する)

親が不動産取得資金・借入利子・クレジットカード決済代金まで代納した者52人

日雇い労働者Dが高額の不動産を多数取得したが、借入金を除いて〇〇億ウォンの取得資金が不明で調査してみたら、母親が本人所有不動産を譲渡し、その譲渡代金を便法で贈与した後、子どもの借入金利子も代わりに支払った疑いが確認されました。また、子どもたちのブランド品ショッピング、海外旅行などで発生した高額のクレジットカード代金を母親が代わりに支払った疑いも発見し、Dと兄Eに対する資金出処調査に着手しました。

親が債務を代わりに返済し隠蔽して税金を脱漏した者87人

父親から不動産取得資金の贈与を受け、不動産を担保に金融機関から〇〇億ウォンを借入した後、父親が借入金利子、元金の一部を残してほとんど返済し、根抵当価額は変更なしに登記することで、債務返済事実を隠すなど便法贈与を受けた子供Gに対して資金出処調査に着手しました。 

所得申告漏れで未成年の子どもに変則贈与をした者47人

未成年者Hと母親Jが取得した〇〇億ウォンの建物などの資金出所を分析した結果、有名スター講師である父親Kが不動産譲渡代金の一部と架空税金計算書の受取を通じて脱漏した事業所得を便法贈与した疑いが確認しました。また、Kは運営中の卸・小売法人を通じて、実際に勤務をしていない親戚に架空人件費を支給するなど法人税および所得税を脱漏した疑いがあります。

(注:税金計算書とは、日本の消費税のインボイスに相当するもの)

HとJに対する資金出処調査及び所得脱漏の疑いのあるKと架空人件費の支給法人に対する個人・法人統合調査を同時に着手しました。​

国税庁は、今後、階層間の資産の両極化を深化させる「税金無しの富の移転」について、自力のない財産取得・負債返済行為の検証レベルを向上させ、債務などの自力償還の有無を最後まで確認し、債務を利用した便法贈与を遮断するなど厳しく対応する予定です。

誠実申告が最善の節税ですので、納税者の​​皆様の誠実な納税義務履行をお願いします。

出典:韓国国税庁公式ブログ

(注)赤色の注書きは、国税庁公式ブログの記事原文を翻訳する際、日本経営ウィル税理士法人で書き加えた部分です。

日本経営ウィル税理士法人

韓国税務担当 顧問税理士 親泊伸明
韓国税務担当 李 榕濟(イ・ヨンゼ)

本コーナーは一般的な情報をお伝えすることが目的であり、翻訳の限界から正確性・網羅性を保証するものではありません。このトピックスをご参考に意思決定をされて直接・間接に何らかの損害を被られても、一切の責任は負いかねます。意思決定にあたっては専門家に個別具体的にご相談なさってください。

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担当:李 榕濟(イ・ヨンゼ)
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  • 事業形態 事業・国際税務
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  • 種別 レポート

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