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海外事業レポート「インド ロックダウンに伴う会計税務ルールの変更点」

「会計税務ルールの緩和措置」、日系企業に影響のあるポイント

インドでは、 新型コロナウィルス感染症(COVID-19) から13億人の国民を守る対応として、総感染者数が500名を越えない、とても早い段階でインド全土のロックダウンが行われました。

当初は3月22日の1日のみ外出禁止でしたが、その翌日からインド主要都市のロックダウン、続けて3月25日から21日間のインド全土ロックダウンが発表されました。

そのインド全土ロックダウンも、当初予定されていた4月14日より延期が発表され、現在は5月3日までの計40日間のインド全土ロックダウンとなっています。

その迅速で大胆なスピードは、インドという国やインドの人々にとって、とても有効であると感じながらも、経営者は突然の発表で組織体制や社内ルールが整えられていなかったり、国のルールが間に合っていなかったりと、混乱した状態の中情報収集を行っています。

下記にて、3月24日にインドの財務大臣であるNirmala Sitharaman氏より発表のあった「会計税務ルールの緩和措置」情報に関して、日系企業に影響のあるポイントを中心にまとめさせていただきます。

所得税に関する措置

FY2018-2019法人税申告期限
(遅延申告,修正等可能期限)
[変更前] 2020年3月31日
[変更後] 2020年6月30日
遅延利息 3月20日-6月30日[変更前] 年12%もしくは18%
[変更後] 年9%
TDS予定納税の遅延金 3月20日-6月30日
※申告期限は延長無し
遅延金免除
※遅延利息は年9%

GST(物品サービス税)に関する措置

FY2018-2019年次申告期限(GSTR 9 / GSTR-9C)[変更前] 2020年3月31日
[変更後] 2020年9月30日 ※2
3-5月の月次申告期限(GSTR-3B)※1[変更前] 翌月20日
[変更後] 2020年6月30日
遅延利息 3月20日-6月30日[変更前] 年18%
[変更後] 年9%

※1
売上が5,000万INR以下の会社は遅延金やペナルティ、遅延利息無し
売上が5,000万INR超えの会社は遅延金やペナルティ無し、年9%の遅延利息のみ対象

※2 2020年5月5日のアップデートにて、2020年6月30日から再延長

その他事項に関する措置

4月1日-9月30日のMCA(企業省)への資料提出遅延手数料免除
9月30日までの取締役会開催期限[変更前] 前回の取締役会より120日以内
[変更後] 前回の取締役会より180日以内
事業開始宣誓書[変更前] 設立後6ヶ月以内に提出
[変更後] 設立後12ヶ月以内に提出
居住取締役要件 FY2019-2020[変更前] 全ての会社は少なくても1名の居住取締役を任命
[変更後] 免除

上記情報は、財務省発表(2020年3月24日)による資料を根拠として作成しております。記載しきれなかった詳細事項等ございますので、下記の内容をご確認ください。
財務省資料は、こちら

今後も新たな情報が発表されることが予想されますので、随時、重要なアップデートがございましたら、情報を発信して参りたいと存じます。

レポートの監修者

藤井 邦夫(ふじい くにお)
日本経営ウィル税理士法人海外事業部課長

事業承継・組織再編の専門部門を経て、2013年よりタイの提携事務所に3年間出向。現地会計業務・進出コンサルティングにとどまらず、現地法令・規制調査、取引先候補企業リストアップ、現地渡航時企業訪問アテンドなど、 中堅・中小企業の東南アジア進出をサポート。帰国後、トータルソリューション事業部にて海外事業部を統括し、海外事業支援業務に従事。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
  • 種別 レポート

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