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消費税Q&A「軽減税率制度にどう対応が必要なのか」

私たちのグループ内には、3つの法人があります。消費税の軽減税率制度について、困っています。

A社 免税事業者ですので、消費税を納付していません。
B社 簡易課税制度を選択しており、売上に一定割合をかけて消費税を納付しています。
C社 本則課税(基準期間の課税売上高が5,000 万円超)なので、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いて、消費税を納付しています。

軽減税率制度の話がメディアでもたびたび報道されていますが、私たちはスーパーマーケットやレストランではないので、税率が上がるだけで「税理士さんにお任せしておけばいい」と思っていました。

ところが最近、経理担当者がややこしいことを言い始めました。なんとか理解できたのは、

・売上について、一部のサービスが軽減税率の対象になること。

・経費について、会議費などで飲食料品を購入しているので、これが軽減税率の対象になること。

・結果的に「3社とも消費税の軽減税率制度に対応が必要」だというのです。

「お任せしておけばいい」のではなくて、「日々の経理業務が変わり、請求書などの保存の仕方も変わる」と言われています。具体的に、どう対応すればいいのでしょうか。

消費税軽減税率への対応

消費税Q&A
A : 消費税軽減税率については、すべての事業所が対応を要検討

まず、区分記載請求書等保存方式への対応に備える

軽減税率制度の実施により、事業者の方は、日々の業務において、税率の異なるごとに売上げや仕入れ(経費)を区分経理した上で、申告・納税を行うことが必要になります。具体的には、次のような対応が必要になります。

仕入れ(経費) ・軽減税率対象品目の仕入れ(経費)があるか確認。

・軽減税率対象品目の仕入れ(経費)がある場合、請求書等に「軽減税率対象品目である旨」や「税率の異なるごとに合計した税込金額」の記載があることを確認(区分記載請求書等保存方式の下では、記載がなければ、その取引の事実に基づき追記することも可能)。

・請求書等に基づき、仕入れ(経費)を税率の異なるごとに分けて帳簿等に記帳。

軽減税率対象品目の売上げがなくても、会議費や交際費として飲食料品を購入する場合は対応が必要です。
売上げ ・軽減税率対象品目を確認し、顧客からの問合せに答えられるように準備。

・軽減税率対象品目の売上げがある場合、区分記載請求書等保存方式の下では、請求書等に「軽減税率対象品目である旨」や「税率の異なるごとに合計した税込金額」を記載して交付。

・請求書等(控)に基づき、売上げを税率の異なるごとに分けて帳簿等に記帳。

免税事業者の方も課税事業者の方と取引する場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。
申告 ・税率の異なるごとに区分して記帳した帳簿等に基づき消費税額を計算。

・税率の異なるごとに区分することが困難な場合、税額計算の特例により計算。

国税庁ホームページ「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド」より抜粋・編集

区分記載請求書等保存方式(令和元年10月1日~令和5年9月30日)

軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が、軽減税率8%と標準税率10%の複数税率になりますので、消費税等の申告等を行うためには、事業者の方は取引等を税率の異なるごとに区分して記帳するなどの経理(区分経理)を行う必要があります。

現行、仕入税額控除については、一定の帳簿及び請求書等の保存が要件とされています(請求書等保存方式)が、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間は、「区分記載請求書等保存方式」に対応する必要があります。

・現行の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、
・「軽減税率の適用対象となる商品の仕入れかそれ以外の仕入れかの区分を明確にするための記載事項を追加」した「帳簿及び請求書等の保存」が要件とされます。

※もし、これらの項目の記載がない請求書等を交付された場合であっても、当該請求書等の交付を受けた事業者が、その取引の事実に基づいて、「これらの項目を追記し、これを保存」することで、仕入税額控除を行うことが認められます。

※また、区分記載請求書等保存方式の下でも、現行と同様に、例えば、3万円未満の取引に係る仕入税額控除については、請求書等の保存がなくても「法令に規定する事項が記載された帳簿の保存のみで適用する」ことができます(ただし、適格請求書等保存方式の導入後は廃止)。

なお、区分経理をすることができない中小事業者(基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者)は、一定期間、売上税額や仕入税額の計算の特例に係る経過措置が設けられています。

適格請求書等保存方式(令和5年10月1日以降)

複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、令和5年 10 月 1 日からは、「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が導入されます。適格請求書を交付しようとする課税事業者は、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。

国税庁ホームページ「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編) 平成30年1月改訂」より抜粋・編集

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※本稿は執筆時点における一般的な内容を分かりやすく解説したものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。
  • 事業形態 事業・国際税務
  • 種別 調査資料

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