外国人投資家・外国企業のための日本への投資・事業進出情報Vol.1「日本における国際課税強化の動き」
グローバルなビジネスモデルの構造変化とともに、日本においても外国企業及び多国籍企業の積極的誘致が進む一方で、国際課税の強化の動きもスピードと複雑化は増している。本レポートでは、外国の投資家の方々及び外国企業に、日本における事業展開と税務について実務情報をお伝えする。
解説:日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
日本における国際課税の強化
2015年にOECDによるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)*プロジェクトの最終報告書が公表されてから、2020年で5年になります。
BEPSプロジェクトの以前から日本においても国際課税が強化され、個人所得税・法人課税・資産課税のすべての分野において国際課税が強化されてきています。
BEPSプロジェクト以降の税制改正では、国際課税関連として例えば下記のような税制改正が行われています。また、その他にも多数の国際関連の税制の改正が行われています。
2016年度税制改正 | ・移転価格税制におけるマスターファイル及びローカルファイルの義務付け |
2017年度税制改正 | ・国外財産に対する相続税等の納税義務の見直し ・外国子会社合算課税の見直し |
2018年度税制改正 | ・外国人の出国後の相続税等の納税義務の見直し ・恒久的施設(Permanent Establishment)関連規定の見直し |
2019年度税制改正 | ・BEPSプロジェクトを踏まえた対応として移転価格税制の見直し ・過大利子税制の見直し |
日本における国際課税強化の動き、スピードと複雑性が増大
近年のグローバルなビジネスモデルの構造変化とともに、日本においても外国企業及び多国籍企業の積極的誘致が進む一方で、国際課税強化の動きもスピードと複雑性を増してきています。
このような状況の中で、本レポートでは、日本への投資を検討されている、あるいは投資をされた外国の投資家の方々、及び外国企業の方々の参考として、日本における事業展開と税務について実務情報をお伝えしていきます。
日本における事業成長の一助になれば幸いです。
*BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)
多国籍企業による各国の税制の違いや等を利用した租税回避に対し、各国が協調して対応するためにG20・OECDによって2012年に立ち上げられたプロジェクトであり、2015年に最終報告書として公表されている。(参考:国税庁ホームページより)
2020年4月2日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。
-
事業形態
事業・国際税務
- 種別 レポート