税理士の経営・財産・相続トピックスVol.044「のれんはどこに?」
東芝の問題が世間を騒がせるようになって、電気屋さんに行ってもなぜかTOSHIBAが気になります。東芝が米国で買収した原子力事業の会社Westinghouseの巨額の買収金額について、減損処理により損失計上するということ。最近では、日本郵政は、オーストラリアのトールホールディングスの巨額の買収金額について減損処理により損失計上するということ。
減損会計など難しい会計処理の言葉は横において、いずれも海外事業を巨額で買収したがうまくいかず損失計上しなければならないということです。「営業権」や「のれん」と言われるものは、「その企業の利益を生み出す事業としての力」を金額で表現したようなものです。価値があると思って50億ドル出したが、その価値がなくなってしまった、あるいは、もともと価値はなかったのか。
私の会社の営業権はいくらだろう? うちの診療所の営業権はいくらだろう? 不動産の価値ではなく、それを超えて企業や事業に価値がある、値段がつく。冷静に考えると「のれん」に値段がつくということは、簡単ではなさそうですね。
今はマイナスでも将来に利益が出る事業に成長させることが出来れば、「のれん」の価値は大きくなり、今は利益でも将来マイナスになれば「のれん」の価値はなし。つまり、将来の可能性に大きくプラスになる要素があるかないか。その要素が「技術・商品の力」なのか、「人財育成の力」なのか、「市場開拓の力」なのか。事業を未来進行形で考えたときの可能性が「のれん」に繋がるでしょう。「のれん」は無いより有る方がベターです。売っても、売らなくても、「のれん」を探してみましょう。有るか、無いか、分からないくらい、ゆらゆら揺れて、まさしく「暖簾」です。
(2017年5月1日 税理士法人日本経営 代表社員税理士 丹羽修二)
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