診療所の経営・相続Q&A「災害への備え」

0001Q:昨年発生した大型地震では、建物に大きな被害はありませんでしたが、スタッフが出勤できなかったため、患者さんの対応に追われました。近年、自然災害が多発しているように思いますが、どのように備えておくべきでしょうか。


 

A:防災対策の基本を定期的に実施し、チームの一体感を醸成することでは。

 

経営者として防災に取り組む必要性を理解

毎年年末に発表される「今年の漢字」。2018年は「災」でした。大型地震や西日本豪雨など、一年の間で甚大な被害が相次いだことは、記憶に新しいのではないでしょうか。

災害はいつどこで起こるかわかりません。被害が報道されるたびに、ご自身のご家族はもちろん、スタッフやそのご家族の安否についても、真っ先に頭に浮かぶのではないでしょうか。防災に取り組むとともに、「忘れた頃」が来ないように、常日頃から不測の事態に備えておかなければなりません。そのような意識を強く持たれた先生方が増えてきているようにも感じます。

事前に備えておくべきことは、いくつもあります。例えば診察中に揺れが生じたとき、どのように患者様を誘導するのか。待機してもらうのか、外に非難してもらうのか。スタッフはそれぞれ何をして、揺れが収まったら、その後は帰宅するのか引き続き勤務するのか。勤務時間外であれば、スタッフの安否はどう確認するのか。特に、緊急時は電話がつながりにくくなります。避難訓練の実施や緊急時の連絡網の整備など、防災対策は基本を定期的に実施することに意味があるのだと思います。

 

マニュアルを作成し、普段から目につくところに提示

気象災害が発生した場合の対応も、重要なポイントです。現在、気象庁から発表される警報、注意報は、特別警報が6種類、警報が7種類、注意報が16種類あります。また軽微なものから順番に避難準備情報<避難勧告<避難指示と避難に関するものは三段階に分けられます。○○注意報の時は出勤、○○警報の時は自宅待機…など、程度に応じてどのように対応すべきかマニュアルを作成し、更衣室など普段から目にするところに提示しておくとよいでしょう。そのような備えがないと、大雨の中、スタッフは無理をして家を出たものの、途中で院長から帰るように指示され、電車は止まりタクシーもつかまらず…ということにもなりかねません。

実際にスタッフが被害に遭われた場合、どうすればいいでしょう。例えば、給料の前払いがあります。賃金支払期日前であっても、労働者が出産・疾病・災害等の非常時の費用に充てるために請求してきたときは、使用者は既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。こういったことに熟知しているスタッフばかりではありません。先生の方から「給料の前払いが必要な人は申請してください」と声をかけてあげるとよいでしょう。

災害は起きないに越したことはありません。しかし、昨今のように全国で年に何度も災害が発生している中で、そのリスク管理は経営にとって重要なテーマです。また、万が一に備えて防災対策に取り組むことは、院長を中心にチームとしての一体感を実感できることにも繋がっていくのではないでしょうか。

(2019年04月05日 医療事業部 主任 池田知世)

 

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