診療所の経営・相続Q&A「診療所の承継、M&A」

0001Q:60歳を超えて、今後、クリニックをどうすべきか考えています。できれば息子なり知り合いに承継してほしいと思うのですが、注意点を教えてください。


 

A:長い年月、医院を経営され、そろそろ勇退も考えなくては、というタイミングの先生方もおられるのではないでしょうか。ただ、勇退するにしても、閉院するよりはご子息やご息女に引き継いでもらいたい。あるいは、誰かに譲りたい。そのように漠然とお考えの先生方も多いと思います。

 

親族内承継、知人・友人ドクターへの承継、第三者へのM&A

事業承継には、大きく3つの選択肢があります。一つは、親族内での承継。次に、知人・友人ドクターへの承継。最後に、第三者へのM&Aです。

親族内承継 親族内での承継のポイントは、いかにスムーズに後継者に承継していけるか、ということです。承継には、財産の承継、経営(人)の承継、診察の承継があります。しかし、診察は承継したのに、財産の承継がされない。あるいは、財産の承継はしたのに、経営(人)がなかなかついてこない。といったことがあります。親族だからこそ、お互いに十分なコミュニケーションがないまま進んでしまい、抜き差しならない状態になってしまうことがあります。

知人・友人ドクター
への承継

知人や友人、あるいはそのツテで後継者を探すことができる場合、お互い相手に配慮して進めていくことが大前提になります。しかし、例えば出資持分有りの医療法人であれば、その出資持分をいくらで買い取ってもらうのかなど、条件面の調整が必要になります。スタッフも院長が変わることには、大変な不安を感じるものです。禍根を残さないように、複数の選択肢からお互いに納得できる選択肢を十分検証する必要があります。
M&Aによる承継 M&Aを行う場合、「買いたい」と思える診療所かどうか、ということがポイントになります。「患者さんが沢山来られている」、「診察スタイルが自分に合っている」、「譲渡の条件がよい」、「スタッフが訓練されている」など、他のドクターから見た魅力がどこにあるのか、ということです。

 

 

「まだまだこれからだ」とお考えの時期から、手立てを打つ

いずれの場合も、今日決めて明日、というものではありません。助走期間、仕込み期間が必要です。これまで「自分の城」と思っていた診療所を、客観的な目線で魅力あるものに磨いていかなければなりません。少なくとも、ご勇退希望の数年前には、検討に着手されることをお勧めします。

しかし現実には、計画的に事業承継を行うケースよりも、予期しないことが起きて承継されるケースのほうが多いと思います。例えば、「跡を継がないと言っていた息子が、いきなり戻ってきた」、「院長が突如、体調を崩してしまった」などです。

企業の経営者は、トップになった瞬間から、次の後継者を考えるとも言います。「まだまだこれからだ」とお考えの時期から、将来を見越して、勇退・事業承継の手立てを打っておくことが最大のポイントで、そのためのお手伝いを、私たちも心がけたいと思います。

 

(2017年9月20日 医療事業部 主任 長濱雅和) 

 

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