診療所の経営・相続Q&A「スタッフの定着」

0001Q:最近、半年もせずに辞めていくスタッフが増え、ベテランスタッフもさすがに疲弊してきています。「スタッフの定着」のために、他の医院ではどのような工夫をしていますか。


 

A:あるとき、院長先生方にご協力いただいて、採用面接の際に、スタッフさんの前職での転職理由を詳しく尋ねていただいたことがあります。すると、次のような回答が多数見受けられました。「スタッフ同士で喧嘩があり、居心地が悪くなった」、「雰囲気が独特で、自分は馴染むことができなかった」、「(希望する日に)休みをとることができない」、「拘束時間が長くて体力が続かなかった」……つまり、スタッフさん側の転職理由は、どの職場でもごくあたりまえに発生している現象でした。

 

不満やコンフリクトが,どうすれば健全に機能するのか

一方、長年スタッフさんが定着している診療所様には共通項があるように感じました。それは「院長先生がスタッフさんと定期的に面談している」ということです。

私は「なるほど」と思いました。職場では、多かれ少なかれ不満の種は出てくるものです。院長先生がどのようなチームづくりをされても、100%満足ということにはならないでしょう。また、100%満足の職場がよい職場かというと、そうではないとも思います。「温室育ち」と「活性化」は、大きく違うからです。「健全な不満」や「健全なコンフリクト」が、職場には必要だと思います。

問題は、不満やコンフリクトがどうすれば「健全に機能するのか」ということです。「健全」とは「前向き」と置き換えてもいいかもしれません。恐らく、小さな不満は、「先生に聞いてもらえた」ということで、「解決」できないとしても「解消」できるものです。芽が出始めた段階で「解消」しておくべきだったというお話を、先生方からお聞きすることも少なくありません。

 

チーム」を意識してもらうような会話

しかし一方でコミュニケーションは、平等であることがポイントです。不平等なコミュニケーションは、逆にチームワークを壊してしまいます。賞与の面談などは、スタッフさんと平等にコミュニケーションを取れる機会です。私も同席させていただくことが、これまでに何度かありました。

院長先生:「日頃の業務で、何か改善したほうがいいことはあるかな。」
スタッフ:「患者様の待合スペースが、椅子の間隔が狭くて通りづらそうです。椅子の配置を工夫してみてはどうかと思うのですが。」
院長先生:「気付かなかった。他のスタッフの意見も聞きながら、進めてくれるかな。」

院長先生:「もう職場には慣れたかな。」
スタッフ:「とても働きやすい環境です。リーダーの○○さんが皆さんに声をかけてくださって、だいぶ馴染んでこれました。」
院長先生:「みんなが心地よく働けることが一番大事だからね。リーダーの思いに応えられるように、これからが本番、頼んだよ。」

なぜこの賞与に決まったのか説明できないことも多いと思います。それでも、院長先生がどんなことを大切に思っているのか。どんな期待をしているのか。それを自分に語ってくれたということが大きいのです。また、1対1の会話で終わらせるのではなく、「チーム」を意識してもらうような会話を心がけることも重要です。

考えてみると、「院長先生のチーム」であることは事実ですが、スタッフ一人ひとりにとっても、「私が働いているチーム」です。スタッフも一緒になってチームについて考える雰囲気を育んでいく積み重ねが、「診療所の労務」の要になる。私は先生方から、そんなことを教えていただいてきたのだと思います。 

(2017年7月20日 医療事業部 主任 藤室みさき) 

 

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