医師・開業医の税金Q&A「医業に係る必要経費」

0001Q:実際に開業してみるとプライベートな時間はほとんどなく、家族は後回し、あらゆる支出は診察と事業のために負担しています。会食や贈答、付き合いなどはその最たる例なのですが、税金では事業とプライベートをどう線引きしているのでしょうか。


 

A:クリニック様からよく質問を受ける項目として、ご質問のような「必要経費」に関する質問があります。今回はそのうち、よくあるご質問をいくつかピックアップさせて頂きました。

 

クリニックの交際費関係

出身大学の教授に行った贈答や負担した飲食代は必要経費になるか
  • 業務について生じた費用は必要経費とされます。従って、その贈答や飲食が医院や歯科医院に必要な情報収集のため行ったものであれば医院や歯科医院の事業遂行上生じた交際費等ということができ、全額必要経費に算入されます。
  • しかし業務と関係ない個人的な付合いの上での贈答費や飲食代は必要経費とは認められません。
贈答について、相手方の住所、氏名を明確にできない場合にも必要経費になるか
  • 相手方の住所、氏名が不明である場合には、その支払いが業務遂行上必要な支出である証明が出来ません。従って、必要経費とは認められないことになります。
従業員の冠婚葬祭に際して支出した費用は、必要経費になるか
  • 業務について生じた費用は必要経費とされます。従って、事業上の取引先や業務に協力してくれる医師、派遣医、看護士など従業員の冠婚葬祭に関して支出する費用は必要経費となります。
  • しかし、事業上の取引関係のない同業者や友人、知人に対する冠婚葬祭費用は、事業主個人として支出する費用であり、所得の計算上の必要経費にはならないものと考えます。

 

クリニックの旅費交通費

医学会への出張旅費は必要経費になるか
  • 医学会への出張旅費は、医師又は歯科医師としての業務の遂行上直接必要な費用であり、必要経費となります。
海外で行われた医学会の出張旅費、滞在費も必要経費となるか
  • 医学会が行われる場合、家族を同伴したり、同時に観光をしたりする場合があります。このような場合一般的には、観光費用や家族の旅費についてまでは必要経費とすることは出来ません。医学会の日程表などの関係書類を保存しておき、経費計上できる金額については確実に証明が出来るようにする必要があります。

 

クリニックの家族従業員関係

経理を手伝ってくれる大学生の娘に給与を支払い必要経費としたいがどうか
  • 結論から言いますと、認められません。原則として、個人事業者が生計を一にする親族に支払う給与は必要経費に算入できません。
  • 但し、一定の要件を満たす青色事業専従者給与としてであれば必要経費となります。
  • 青色事業専従者給与とは青色申告者である医師又は歯科医師と生計を一にしている配偶者又は親族(年齢15歳未満の人は除きます。)が、①医院又は歯科医院の仕事に専ら従事しており、②支払う給与についてあらかじめ所轄の税務署に届け出て、かつ、③給与の金額が労務の対価として相当である場合の給与をいい、全額が必要経費とされます。
  • 上記の要件①には、「専ら従事」という要件があり、娘様はその業務に専ら従事している必要があります。高校、大学などの学生である人や、他に職業がある人、老衰その他心身の障害によって事業に従事することが著しく阻害されている人は事業に「専ら従事」しているとは言えず、青色事業専従者給与とすることは出来ません。

 

(2017年6月10日 税理士法人 日本経営 代表社員税理士 吉本英明) 

 

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