タイの新投資奨励政策「BOI 改正」/国際税務・海外進出の支援 VOL.05

タイの旧投資奨励政策

今回はタイの投資奨励策であるBOIの改正についてご紹介します。旧投資奨励政策では、2 種類の基準により投資奨励が行われていました。

1.バンコクを中心に3つのゾーンに分け、工場の立地が都市のバンコクから離れるほど税制優遇などの恩典が厚くなる「ゾーン制」

2.タイにとって重要な産業「特別重要業種」、あるいは「特別重要かつ国益をもたらす業種」には、投資地域に関わらず、最大限またはそれに準ずる恩典を付与する

 

タイの新投資奨励政策

新戦略の恩典制度では、従来のゾーン制が廃止され、立地場所に関係なく事業ごとに付与される恩典が定められました。各事業は法人税の免除を受けることができるグループA(A1〜A4)と、法人税の免税恩典がないグループB(B1、B2)に分けられました〔表1参照、詳細はBOIのウェブサイト(タイ語)をご参照ください〕。

さらに、法人税免税についてはメリットベースの恩典で最大3年間の法人税免税期間を追加(ただし、A1とA2は免税期間である8年間終了後、さらに5年間法人税半減)することができます。 

表1 グループごとの恩典内容 

  法人税免税期間 その他の恩典 メリットベース恩典
A1 8年(上限なし、注) ・機会の輸入税の免税
・輸出用製品に使用される輸入原材料の輸入税の免除
・土地所有可
・ビザやワーク・パミットについての優遇
・さらに最長5年間の法人税半減  
A2 8年(上限あり)
A3 5年(上限あり) ・さらに最長3年間の法人税免税  
A4 3年(上限あり)
B1 なし ・一部が恩典を申請することが可能  
B2 ・輸出用製品に使用される輸入原材料の輸入税の免除
・土地所有可
・ビザやワーク・パミットについての優遇

注)通常、法人税減免期間中であっても、免税累計額が当初の投資額(土地代、運転資金を除く)に達したときに打ち切られる。「上限なし」の場合、この投資額に達して以降も期間内であれば、法人税が免除される。今回発表されたリストでは15業種が該当。(出所:BOIウェブサイト)

 

メリットベース恩典

メリットベース恩典とは、以下の(1)から(6)の活動のために要した費用または投資額の、最初の3年間の収入(売上高)に対する比率または金額により、追加で法人税免除期間を付与するというものです(表2参照)。

(1) 社内研究開発、タイ国内外の研究アウトソース
(2) 技術・人材開発基金や教育・研究機関、政府機関への寄付
(3) タイで開発された技術を商品化するためのライセンス料
(4) 社内での高度技術トレーニング
(5) タイ国内のローカルサプライヤー(タイ資本 51%以上)のトレーニングおよび技術援助による開発
(6) 製品およびパッケージデザイン(アウトソースも可)

表2 メリットベース恩典の付与基準  

最初の3年間の収入に対する、
上記(1)~(6)への投資額・費用の比率または金額
法人税免税追加年数
1%または2億バーツの小さい方 1年
2%または4億バーツの小さい方 2年
3%または6億バーツの小さい方 3年

注)(1)は投資額・費用の2倍、(2)~(6)は1倍を免税額の上限とする。(出所:BOIウェブサイト)

なお、新投資奨励政策でも、一部、1人当たり所得が低い地域や国境地帯の特別経済開発区での投資については恩典が与えられます。

 

プロジェクトの認可基準

プロジェクトの認可基準については、概ね従前の奨励策と同様となっています。

 

その他、投資金額が 7 億 5,000 万バーツ(土地代と運転資金を除く)以上の場合は、BOI 申請にあたり、可能性調査の報告書を添付しなければなりません。

(紙面の関係上、本稿が制度や改正内容の全ての紹介ではないので、ご留意ください。)

 2015年1月 バンコク 
島根県のホームページ にも本稿と同一の記事を掲載しています)

 

 [年賀状]

 

  • 『タイでは年賀状を送る習慣があるのか?』
  • 早速答えですが、タイにも年賀状はあります。タイ語で「ソー・コー・ソー」と言うそうです。
  • タイの年賀状は、はがきではなく、2 つ折のカードでデザインも様々です。やはりお国柄人気はプミポン国王の写真や肖像画が使われたカードです。なお、会社では届いた年賀状を貼って飾る習慣があるようです。
  • また、タイの年賀状は日本のように期日までに送れば元日に合わせて配達するというシステムはありません、早めに出しすぎて年内に届いてしまわぬようにする必要があります。

 

(2017年1月15日 日本経営ウイル税理士法人 課長代理 藤井邦夫(タイ駐在)  

 

本稿は一般的な内容を分かりやすく解説したものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

 

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